2 聖剣と十二神

 ジェイローグに連れられてルグシュ宮殿にやってきた闇の女神を歓待しない者など一人もいなかった。以前に比べて一層窶れ、骨と皮のような彼女の姿に皆一様に驚きはするが、その活き活きとした顔つきは驚きを一瞬で消し飛ばすほどだった。
 「お母様!」
 物心ついて初めて会う母に、セティは感動を抑えきれなかった。我慢強く、神の子であるが故の強い意志力で振る舞ってきた彼女も、母の前では子供に返る。レイノラに優しい言葉を掛けられると、人目も憚らず抱きついて泣きじゃくる姉の姿に、レッシイは切なさを感じていた。姉が今までどれほど身を粉にして戦ってきたかを思い知らされた気がした。
 (あたしは___とんだ親不孝だ___)
 借りはいつか戦場で返す。自分は不器用だから、それくらいのことしかできない。
 それからのレッシイの働きぶりは鬼気迫るものがあった。また双子ならではの感性か、セティとの連携が抜群で、父を補佐しながらGとの戦いで活躍した。
 しかし、それ以上に驚異的なのがGである。大量虐殺、あるいは神殺しを経て、Gは一度姿を眩ませる。そして以前よりも巨大で厳めしい体になって戻ってくるのだ。その強さも、それまで以上のものとなる。
 「奴は命を吸っているんじゃないの?」
 そう助言したのは酒の神キュルイラだった。ジェイローグもその言葉に同調した。Gは命を吸って強くなる。より究極に近づいている。ならば少しでも早く倒さなければならないのに、竜の姿に変化して放つ究極の竜波動を以てしても、討ち滅ぼすことができなかった。
 「奴の再生を止めなければ勝機はない___」
 ジェイローグと共に幾多の戦場を乗り越えてきた海神オコンはそう呻いていた。実際、竜波動はGの体半分を消し飛ばした。しかしGの肉体はすぐさま再生を始めてしまう。それは奴の体内にあり余る生命力の成せる業なのか、ともかくGを完全に消滅させるには最大限の竜波動が三発は必要だろう。しかし体力の消耗が激しい竜波動は諸刃の剣。乱発は難しい。セティとレッシイにしても、父ほどの力強さはない。
 ならばどうするか。目線を変えるしかない。力業で難しいのなら、知恵を使うしかない。それにはまず敵がなんたるものかを熟知しなくてはならない。そしてそれを探り当てたのはレイノラだった。
 「禁呪___アシュタルト___」
 アイアンリッチが魔道の研究に没頭していた離れ家を探すのには手間取った。何しろ彼の邸宅には一切の人がおらず、しかもまるで生活の最中に消し去られたような状態。それは剣神ゼッドが消えたマルコンの町でも見た光景だった。その邸宅で何とか離れ家の手がかりを見つけ、辿り着き、レイノラはおぞましい現実を知る。
 それが禁呪アシュタルト。
 「殺めた者の力をそのまま我が者とする禁断の秘術___でも、限界を超えた生命を宿すと肉体の崩壊を招く___」
 だから好んで使おうとする者はいなかった。三人も殺めれば、力が人の器を越えて溢れだし、いわば自爆のような形で体が崩壊するからだ。百害あって一利無し、そんな言葉が当てはまる禁呪は、今やその名前すら忘れられようとしていた。しかしアイアンリッチは間違いなく、この秘術でGに化けた。それを可能にしたのが___
 「変態術___芋虫がサナギを経て蝶になる___まさか、ということは力の高まりにあわせて体を進化させているということ?信じられない___」
 だがそうなのだろう。賢者の家柄に生まれ、その知恵を邪道に投じた結果、彼はどうやったのかはしらないが、昆虫の変態をヒントに己の肉体を進化させる術を編み出した。
 しかし何の目的で?世界の王にでもなるつもりなのだろうか?
 その答えを探って離れ家をさらに探索する。そしてレイノラは愕然とした。
 「___なんてこと___」
 そこは小さな部屋だった。書斎の壁に見つけた隠し部屋への入り口は、大人一人がくぐり抜けるのがやっとだった。そして入り込んだ部屋。蝋燭で中を照らすと人影が浮かび上がる。
 それは絵。描かれているのは___レイノラの裸身。
 その絵画に向かって一脚の椅子が置かれ、椅子の後ろにはまだ他にも何枚もの絵があった。それは全てレイノラを描いたものだった。
 「ああ___」
 レイノラは錯乱した。覚悟はしていたが、現実を目の当たりにすると腰が砕けそうになり、そこにあった椅子へとへたり込んだ。
 「ひっ___」
 しかしアイアンリッチに肌を撫でられたような気がして、すぐに立ち上がる。
 「やはり___あの男がアイアンリッチ____」
 ___
 思えばこの男は、かつて私に愛を告げたことがある。私はジェイローグを愛していたから、断った。それは当然のことだ。だが、それは彼の倒錯を呼んだ。私を愛するが故に、ジェイローグを憎んだ。ジェイローグの失墜を喜ぶ手紙もよこした。いや、ルグシュ宮殿を襲撃させたのはアイアンリッチだ。それ以外にない。
 時を経て、彼は秘術を我が者にした。そして私の夫となった剣神ゼッドを殺めた。あのとき、世間では私とゼッドの関係を揶揄する噂が広まっていた。アイアンリッチはゼッドにも憎しみを抱いたのだろう。
 次は大神。それまでに彼は三人の神を殺している。それは大神を殺めるのに必要な能力を手に入れるためだ。そして彼はその場にいた私を襲った。組伏し、唇を奪い、乳房を嬲り、身の滾りを放った。
 「この男は___私を手に入れるために___それだけのために殺戮を繰り返しているの___?」
 なぜ?愛の偉大さは知っている。それが人を盲目にすることも実感として知っている。だが___理性がなければそれは愛でなく、肉欲に過ぎない。
 「___」
 悩んでも答えはない。混沌とする心を静めようと、レイノラはとりあえず体を動かし、掲げられた己の裸身を壁から取り外した。
 「!」
 そして答えを見つける。そこにはもう一人のレイノラ、いやレイノラによく似た女性が描かれていた。そして後から書き加えたものだろう「我が最愛の人、マリア・コルキナ・アイアンリッチ」の文字。
 それはアイアンリッチの母の肖像。その面立ちは、レイノラの生き写しと呼ぶに相応しかった。
 さらなる調査で分かったことだが、マリア・コルキナ・アイアンリッチは非業の死を遂げている。息子ロイは夫エドガーとの間に授かったのではなく、彼女の昔からの思い人との子だった。彼女はそれを隠し続け、息子に愛する人の影を重ねて溺愛した。
 だがロイが十歳の頃、エドガーに秘密が知れた。エドガーはマリアの愛人を捜し出して人知れず命を奪い、悲嘆に暮れたマリアは重い病に伏して絶命した。なるほど、その一連の流れからロイ・ロジェン・アイアンリッチが父に深い憎しみを抱いたとすれば、エドガーが息子に殺されたという噂もそれなりの信憑性を帯びてくる。

 レイノラの持ち帰った事実は、生き残った神々の驚愕を誘った。もしそれが事実であるならば、レイノラ一人の犠牲で事は収まるかもしれない。それは彼女自身が主張したことだが、当然ながらジェイローグは否定した。愛するレイノラを犠牲にしたくないという思いはもちろんだがそれ以上に、もはやGはまともでない状態にあり、そんな方法は通用しないと考えていた。それはジェイローグに対しては一段と強かった殺戮の意志が、いまや曖昧になっていることでも明らかだった。
 察するに、もうアイアンリッチに理性や人格はない。確かに彼はいかなる強大な力をも受け入れられる限界無き進化の方法を手に入れたのかもしれない。しかしそれはあくまで肉体の話だ。精神はもはや彼のものではなく、ただその根底にある欲望、それは愛欲であり、憎しみであり、殺意であり、その欲望に任せるが儘に動く力の塊に過ぎない。そう考えるのが妥当だった。
 だが、だからこそ余計にたちが悪い。その暴走にどうやって終止符を打つのかは、いくら思案しても妙案を生むものではなかった。
 そんな時、混迷に活路を見いだすのは概して柔軟な若い力である。
 「Gが力の集合体だというのなら、その結合を解くこともできるのではないでしょうか?」
 そう話したのはセティだった。そしてレッシイも___
 「倒すのが無理でも封印ならできるんじゃない?」
 新たな道を示した。神は己の力を信じればこそ、脅威に対して勧善懲悪を決め込みたくなる。だが事この期に及んでは、封印も手段の一つ。しかしそれには、あの強大なGを受け止められるだけの器がなければならないだろう。
 その二つの手段に焦点を絞り、生き残った神々は議論を重ねた。数多の神々あまねくバルディスだったが、いまや存命なのはジェイローグとレイノラを含めて十四名でしかない。

 海神オコン。
 大地神ビガロス。
 風の女神ジェネリ。
 森の女神リシス。
 酒の女神キュルイラ。
 探求神オルローヌ。
 鋼の神ロゼオン。
 戦の女神セラ。
 妖精神エコリオット。
 収穫の女神リーゼ。
 鳥神バルカン。
 束縛の神ムンゾ。
 そして光の神ジェイローグと闇の女神レイノラ。

 彼らは一堂に会し、思案を巡らせる。
 ほんの数日前まではまだ倍ほどの神がいた。彼らはまた別の一団となってGに挑んでいたが、あまりに強大となったGの前に成す術なく、海と大陸を一つずつ道連れに死んだ。もはやGの攻撃は、紙くずでも潰すかの簡単さで世界を破壊する。
 確かに、打倒するのは現実的ではなくなっていた。だが、力の結合を切る、そして封印する。この選択肢により、十四の神は一つの光明を見いだした。 
 「半減の鉱石マグノゼロを使って剣を作るのだ。あれは触れた力を半分にする。炎も水も風さえも二分する。もし人がマグノゼロの剣で切られても、肉体そのものに異変はない。しかしその者が持つ力、生命力は半分に裂けるだろう。」
 鋼の神ロゼオン。彼に掛かればその手にできない鉱石はない。
 「十二神縛印という封術がある。神縛印とは神そのものが封印の鍵となる高度な封術だ。十二神縛印はその名の通り、十二の神が鍵となり、己の内に封印を宿すこと。十二の神それぞれが、一つの陣を描くように均衡を保って生き続ければ、封印はより強固になる。」
 束縛の神ムンゾ。封印術の長者が無事だったことは、幸運と言うほかない。
 ある程度の方向性ができた。まずはマグノゼロの剣が作れるのかどうか。作れるのならば、それを用いてGを倒すことを考えたい。作れないのならば、また作れたとしても倒すことが難しいのならば、存命の神のうち十二名がその身を捧げることになるが、十二神縛印を試みるしかないだろう。
 ただ、あまねく神々の力が集合したGを、たった十二の神で受け止められるのかは大いに不安の残るところではあった。そして、その後の世界はどうなるのかも。
 「もし十二神縛印を使うことになったら、我々はGを抱いてバルディスを去ろう。そしてどこかバルディスとは深い隔たりを持つ場所に、Gの力を受け止められる大地を作り、そこで生き長らえてみせよう。」
 大地神ビガロスは、他の神の総意としてジェイローグとレイノラにそう告げた。
 「しかしそれでは___」
 「残った世界はおまえたちに任せる。おまえたちならばバルディスの再興を必ず成し遂げられる。」
 困惑するジェイローグにビガロスは力強く言い放ち、彼の肩にその無骨な手を掛けた。
 「どうしたジェイローグ?いつものように曲がることのない強い意志と、希望に満ちた眼差しを俺に見せてみろ!」
 「ビガロス殿___」
 やがてジェイローグは力強く頷き、ビガロスは満足げに哄笑した。残された世界は若き夫婦の神に託される。思えば、バルディスは飽和した世界だった。あまりにも多い神と呼ばれる存在、そして遍く様々な種族。飽和の先には破裂が待っている。Gの登場は、バルディスという世界の限界を示していたのかもしれない。

 数日が過ぎた。マグノゼロの剣作りは難航していた。鉱石そのものが力を半減させるだけに、その機能を維持させたまま剣として形作るには、少なくとも通常の倍以上のエネルギーが必要となる。剣神ゼッドが存命ならばこれほど手間取ることはなかったろうに___誰もがそう思った。
 その頃、ある湖の上空にて、セティは厳めしい顔で眼下の湖面を睨み付けていた。彼女の後ろには数人の男たち。いずれもこの過酷な戦いに身を投じ、生き延びてきたバルディス有数の戦士たちだ。そしてセティの横には森の女神リシス、鳥神バルカンがいた。
 「忌々しい___」
 セティは小さく呟く。彼女の睨む先、すなわち湖の底にはGがいる。その体を鋼のような硬度を持つが柔軟な膜で覆い、異様に巨大になった体を丸めて眠っている。
 「眠りから覚めたときには奴はまた強くなる。何とも恐ろしいことよ___」
 老いた女神リシスも、長き歩みの中でこれほどの悪魔を見たことがなかった。
 「ああなってしまうともう我々ではどうにもならない。それこそジェイローグの光も弾き返した。」
 鳥神バルカンは鋭いくちばしを動かして言った。彼は鳥人間と呼ぶのが相応しい姿をしており、その翼で颯爽と舞うばかりでなく、強靱な肉体をも持ち合わせている。
 「ファルシオンができあがれば、多少は変わるのやもしれぬがのう。」
 「ファルシオン?」
 リシスの言葉にセティが問いかけた。
 「ああ、マグノゼロの剣のことじゃ。まどろっこしい名前よりも、そう呼んだ方が聖剣らしくて良いじゃろう。なにしろ、我らの希望の剣よ。」
 「ファルシオンか___良い名前ですね。」
 希望を胸に抱かせる輝かしい響きがそこにはある。セティはこの上空で漸く笑みを見せた。しかしそれも束の間___
 「セティ様、なにやら様子が___」
 湖を睨み付けていた戦士の一人が彼女にそう声を掛ける。バルカンも鳥神らしい良く利く目でじっと湖中に眠るGを見つめていた。
 「動き出した。」
 「えっ!?」
 バルカンの言葉にセティが振り返った瞬間だった。
 ドオオオッ!
 湖に波紋が生じると、轟音と共に爆撃でもあったかのように水柱が吹き上がる。巻き上げられた飛沫が瞬時に湖を霧に煙らせ、吹き出してきた夥しい力を隠すカーテンとなった。
 「!」
 霧を突き破り、無数の光が空を劈いた。それは剣山のように、Gを起点に一直線に空を刺し、その壮絶なるエネルギーで蔓延った雲を昇華させる。光はセティたちにも襲いかかり、そのうちの一つは今にもリシスを飲み込まんとしていた。
 「危ない!」
 奮い立ったのはセティだけだった。Gの壮絶な波動に誰もが我を失っていたその時も、彼女は己が成すべき事を決して見失わない。強い意志力のままに、相手が神であろうとリシスを突き飛ばしていた。
 「っ!!」
 「セティ様!」
 苦悶は声にならなかった。何とか黄金の輝きに身を包みはしたものの、光の帯から逃れることはままならなかった。衝撃とは違う、触れた瞬間に痛みも何も超越して、ただ肉体が破壊される感触。セティは今、Gの恐ろしさをその身に刻んでいた。

 「何だと!セティが!?」
 ジェィローグの元に届いたのは悪い知らせの連続だった。
 まず、Gが目を覚ましたこと。その姿はもはや筆舌にしがたく、まるで身中に一つの世界を持つかりように、体の各所に天地全ての躍動を携えているという。しかも、その目覚めと共に放たれた破壊の力で、一つの大地が崩壊へと進み、リシスを守るために身を挺したセティもその片足、片腕を削ぎ取られたという。
 「傷口でいまだGの力が燻り、クラッセン殿の体を食い進めようとしております!術者たちが懸命に治療に当たってはおりますが___!」
 「なんたることだ___分かったすぐに___」
 リシスとバルカンは何とか無事に帰還した。しかし、セティが連れ立った戦士は一人を残して命を失った。その一人も、セティを破滅の光から救い出そうとして、片腕を失った。
 娘の命を救わなければ。彼が祭壇を蹴って飛び出そうとしたその時、神殿に一陣の風が舞い込んだ。
 「ジェイローグ!」
 悪い知らせは続く。姿を現した風の女神ジェネリは酷く慌てていた。
 「もう無茶苦茶だ!Gは蘇った場所から世界を壊している!もうあれの目的は誰かの命なんかじゃない、全てを壊すことだ!」
 風の嘆きをつぶさに感じ取っているのだろう、ジェネリは青ざめていた。彼女の狼狽を形にするように、大地が激しく震える。
 地震だ。崩壊の地震。きっとどこかでビガロスも愕然としているだろう。大地は神である彼の力を持ってしても、もう戻れないところまで傷つけられている。
 「マグノゼロの剣はまだできないのか!?」
 Gを止められるかもしれない希望の剣。しかしそれはまだ完成を見ていない。
 「その件だがジェイローグ、おまえの力を借りたい。」
 次に現れたのは鋼の神ロゼオンだった。
 「剣に命を吹き込む、だが火に関わる神々は全て消えた。しかし光は、光の源は火をも超越した膨大な力を秘めている。おまえの光を借りて、ファルシオンに命を吹き込みたい。」
 「ファルシオン___」
 「リシスがそう呼んでいた。相応しい名であろう。」
 今が平常ならば、手を貸すことに躊躇いなどない。だがジェイローグは揺れた。
 セティの危機。
 迫り来るG。
 体は一つしかなく、どれにも相応の力を要する。どれを選ぶのか?いや、まず何よりもセティの命を___しかし___
 「さあ来てくれ!ジェイローグ!」
 「そんなことをしている間にGがここを滅ぼすわ!」
 「セティ様のお命は___!」
 迷う暇もない。しかし、彼は一人でもない。
 「Gは私が止めます。」
 闇の女神レイノラは、祭壇の間の入り口に凛として立っていた。
 「レイノラ___」
 「Gの核であろうアイアンリッチ、彼の衝動の根底が私を求める気持ちにあるのなら、時間稼ぎくらいの役には立てるはずよ。」
 物は言い様だが、一言で言えば囮だ。ジェイローグは首を横に振った。
 「無茶だ、危険すぎる___」
 だが言葉も半ばで、レイノラは白黒逆転した右目から夥しい闇の波動を吹き上がらせた。
 「私じゃない。危険なのはバルディスに住む全ての生命であり、バルディスそのものよ。例え私たちが愛し合っていようと、神である私たちは世界を守るために己の成すべき事をしなければならない。」
 レイノラの言葉は愛に過ぎ足るジェイローグの胸に響いた。彼女は彼の返事を待つまでもなく、踵を返す。
 「セティにはレッシイがついています。あなたはファルシオンを___」
 「___私が行くまで死ぬな!」
 当たり前。そうとでも言いたそうな微笑みを残し、レイノラは消えた。
 「ロゼオン、行こう!ジェネリ、君は他の神々に警戒の報せを!」
 そしてジェイローグもまた、決戦の時に向けて動き出した。




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