第19章 空へ!
「いやぁ、ここはまた随分暑いところですね。羽が溶けちゃいそうですよ。いや、だからって氷でできているわけじゃないんですよ。」
また飄々とした口調で会話を先走りながら、トーザスは地に降り立った。
「前に来た時は雪の中でしたもんねぇ、そりゃ暑いわけですよ。」
「前?」
おしゃべりな彼の言葉に、百鬼の眉がぴくりと反応する。
「ってことはおまえか!ソアラをそそのかした奴は!」
「うわっ!」
そしていきなりトーザスの胸ぐらを力任せに掴んだ。
「やいソアラはどうした!?今あいつはどこで何をやっている!?」
「そ、ソアラさんはいま黄泉という世界に___」
激しく揺さぶられたトーザスはたまらずに口を滑らせる。
「よみ?」
その話を聞いたのはもう何年も前だ。だから百鬼も思い出すのに時間が掛かった。
「よみ、ヨミ___あっ!黄泉っていやおまえ棕櫚とバルバロッサの故郷じゃねえか!何でそんなところにあいつが行かなきゃなんねえんだ!?おいこら!」
「お、お父さん___」
「あ。」
リュカの心配そうな声を聞いて、百鬼も首を締め付けられたトーザスが青ざめていることに気が付いた。
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