第1章 決断の時

 熾烈を極めた地界での戦いはソアラの勝利で幕を閉じ、栄光の城でひとしきり美酒を味わった皆は、晴れて中庸界へと舞い戻っていた。
 どうやって?
 光の源が眠り、ミキャックが籠もっていたあの竜の社の島には、やはり魔導口の類があった。竜神帝の言葉に従って、栄光の城から魔導口を稼働させる鍵のようなものを手に入れ、ソアラ、百鬼、ライ、フローラ、サザビー、リュカ、ルディーの七人は中庸界へと戻ることができたのだ。
 ひとまず地界での役目を終えたミキャックは、他の天族と共に天界へ帰るつもりだと告げ、バットとリンガーは地界を旅して落ち着ける場所を探すと話した。彼らについて、ソアラは中庸界へ来てはどうかと誘いをかけたが、二人は生まれた世界をもっと知りたいとして首を横に振った。今生の別れ___そう感じたソアラは、二人の唇にキスすることを全く躊躇わなかった。
 中庸界。
 突然クーザーに帰還した皆をゼルナスは驚きと感激で出迎えた。魔導口を潜ることによって生じる若干の「時差」により、彼女と皆の年齢差は少し縮まっていた。サザビーとの再会、皆の前では笑顔を絶やさなかった彼女も二人きりになると涙を堪えることができなかったようだ。
 ライとフローラは二人でカルラーンに住むと公言し、手を取り合って旅立った。
 ソアラたち家族はケルベロス経由でソードルセイドへと帰った。
 これが解散。
長い月日を一つの目標に向かって歩み続けてきた仲間たちは、それぞれの道を歩むことを考えていた。




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