第14章 二人の竜

 「なぜだ!?なぜ貴様が竜の使いなんだ!?」
 ミキャックは先程から冷や汗が止まらなかった。間違いないのだ。目の前の女から発せられる気配はソアラや竜神帝のそれに類似している。
 「知りたい?」
 「教えろ!」
 「いや。」
 ライディアがミキャックにゆっくりと掌を向ける。僅かにすぼめられた指の内側で淡い光が輝いた。
 「!」
 いつもならば俊敏な動作で交わせるだけの攻撃だった。しかしライディアの掌から放たれた一直線の光、その軌跡を見ることは出来ても一歩が出なかった。
 「怖じ気づいたね。」
 ミキャックの白い翼から羽が無数に舞った。夥しい出血こそ無い。しかしその勇壮な翼の片方は、光により羽を大きく消し飛ばされた。
 「ソアラが戻ってくるまで生きていられるかしら?そうね、もし生きていられたらあなたにも教えてあげるわ。私のことを。」
 ライディアはそれは楽しげに微笑んでいた。



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