第9章 悲劇の幕切れ
カルラーンに横付けされたベルグランに、兵力が充当されていく。また一方で、ポーリースの港にも大型の軍事船舶が結集し、出撃の準備を整えていた。戦いの口火を切るのはベルグラン。狙いはまずゴルガだ。ここを奪還し、ポポトルへと向かう。大胆な作戦ではあるが、迅速な行動でポポトルを攪乱するために、ゴルガの制圧部隊はベルグランと他に船舶一隻、それからシィットの在駐部隊のみを当てる。つまり、ポーリースから出航する大部隊の大半は、途中で食糧積み込みを行う以外はポポトル島まで一直線に突き進む。だが、こうでもしなければベルグランのスピードに後れをとってしまうのも事実だ。
「俺たちが___ですか?」
アレックスの部屋に仲良し四人組が呼ばれていた。
「はい。私と一緒にベルグランに乗っていただきます。」
アレックスは淡々と言ってのけた。ライとフローラ、百鬼は突然の重大任務に緊張の様子だったが、ソアラは冴えない顔をしていた。任務がどうというのではなく、少しボーっとしている。
「ソアラ、どうしました?」
「あ、ゴホッ。」
喋ろうとして軽く咳き込む。
「風邪です、体調悪くしちゃって___でもすぐに良くなりますよ。」
「気をつけて下さい。感冒といえど命に関わる場合もありますから。フローラ、後で診てやって下さい。」
「はい。」
ベルグランの兵力は、全てケルベロス兵である。白竜軍に限ってそんなことはしないだろうが、乗っ取られたときほど恐ろしいものはない。ベルグランならば、ケルベロス本国を滅ぼすことだって難しくはないのだから。ただ、前回、すなわちアンデイロで痛みを味わった白竜軍もただでと言うわけにはいかない。ケルベロス兵の監督を任されているアレックス自らが、ベルグランに乗り込むことになったのだ。そして数人の護衛を伴うことが許諾され、アレックスは彼ら四人を選んだ。そして、期日はすぐに訪れた。
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