第4章 ソアラと百鬼
カルラーン城。医務室のベッドで眠り、未だに意識の戻らないソアラを、ライ、フローラ、百鬼が心配そうに見ていた。ソアラの側には軍医が付き添い、アレックスもいる。
「ご覧の通り、相当の火傷を負っていますね。」
顔こそ無事だが、少し下に下がれば焼け爛れた皮膚が現れる。
「呪文ですね___フュミレイにやられましたか。」
アレックスは深刻な面持ちで言った。
「!?知っていたんですか?」
フローラの問いに、小さく頷くアレックス。
「すぐに冷やしたのがききましたよ、おかげで一命は取り留めていますが___今後の生活は不自由なものになるかと___」
「すぐに冷やした?どうやって冷やしたのですか?」
医者の見解に疑問を持ったアレックスがフローラに尋ねた。フローラはハッと何かを思いだしたような顔をしてアレックスに自分の右手を示した。
「これです、この指輪から水が噴き出して___」
本気にしていない医者をよそに、アレックスは急に顔を強ばらせた。
「こ、これは水のリングじゃないですか!」
「水のリング?」
「古代魔力が封じられているリングです。適応者に魔力解放の力を与えると言われています。こんなものをいったいどこで___?」
「ノヴェスクの部屋です___」
少し離れた辺りで様子をうかがっていたデイルが近づいてきた。
「多分ケルベロスからの贈与品ですよ。」
「なるほど___」
デイルの言葉に納得するアレックスだが皆には何の事やらさっぱりだ。
「フローラ、あなた次第でソアラを治せます。」
そう言うアレックスの言葉は確信に満ちていた。
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