第10章 暗黒の竜が舞う空
「今度の相手は人じゃない!とにかくやばくなったら渡した玉を使え!生き延びることが大事だっていってた奴は死んじまったけどな!」
「そう言うこと言わないで下さい。」
「ま、頑張ってこいよ!」
三人はアモンの前で輪になって手を結び、アモンは老体とは思えないほどしっかりとした両腕を突き出し、その両手が神々しいほどに大きく輝きだした。彼から放たれる魔力の波動は服をはためかせ、砂の粒を舞い上がらせる。それほどアモンの魔力は強烈。
「我、探求の心を宿し者、天を結ぶ扉を開き、求めし地へとその身を誘わん___!」
アモンが呪文の詠唱をしなければならないほど転送の呪文は労力を要する。恐らくこの世界でも使えるのはアモンただ一人。
「ヘヴンズドア!!」
アモンの手から放たれた光が球状に広がって三人を飲み込んだ。そしてそのまま収縮して瞬く間に空の高見へと飛び上がり、ポポトルの方角へ流星のように飛び去っていった。
「やれやれ___」
アモンは大仕事を終えて一つ肩で息を付いた。そして呟く。
「面倒なことさせやがって、ソアラめ。この貸しは高くつくぜ___ま、おまえが病気で死んだら借りも貸しもねえか。」
まだ仕事は残っている。アレックスの遺体を白竜に引き渡さなければならない。
それに___
そのうちソアラの様子も見に行かなければならないだろう。
「あそこに行くのは面倒だが___近況を教えてやらにゃ、あいつも心配するだろうからな。」
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