蕎麦談義




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蕎麦談義
そば打ちは大人の贅沢な趣味、ゴルフが外遊びなら、そばはおもてなし遊び、そば打ちの喜びは、自分の作ったものを人に食べてもらって「おいしい」と言わせること。ここに自己実現と満足の感動がある。
同じそばは2度と出来ない。1回1回打つたびに違うそばとなる。よしこれだと思って同じように作ってもそのとおりにはいかない。
先日、84才になる師匠が「打つたびに反省がある」「そばは奥が深いんだ」と言っておられた。 外遊びのゴルフと同じだ。練習場で今日はよく当たったから明日のコースは万全だと思ってもそうはいかない。「なぜだ」と思って悩んだらスコアーはウナギのぼり。反省することばかりだ。ゴルフもそばも同じに奥が深い。



蕎麦には品格はあるのか
結論から言うと「ある」だ。そばというものは、それなりに打つと、それなりのそばが出来る。気合いを入れて打ったら、肩に力が入った分、難しいそばとなる。要らぬ力を抜いて、自然体で、丁寧に打てば、品格のあるそばが出来る。
食べ方もある。そばにわさびを付けつゆにちょっと浸してそのまま口に入れる。そばの生地の味がそのまま口に伝わる。ガサッとそばつゆに漬けるとつゆの味が勝つ。本来のそばの味を味あうこと。たれの味を味あうのではない。 たれにたっぷり漬けてがむしゃらにガツガツ食べる輩がいる。心を込めた品格ある出来上がりのそばは、食べる方も品格を持って食べてもらいたいものだ。

そば打ち段位認定試験にそばの品格チェックがある
素人そば打ち段位認定制度というのがある。段位を認めてもらおうと金を払って集まった受験者が、並んで技能審査を受ける。その間をバインダーを持って背広を着てそばを打っているところを見ながらその仕草を一人ひとりチェックして紙に印して廻っている審査官なる恐ろしそうな人がいる。受験者からしたらうっとうしい存在だがこの人の見方一つで合格するかどうかが決まるので廻ってきたときはかっこよく見せようとつい力が入る。 このバインダーの中には「段位認定技能審査チェック項目」が並んでいる。道具の準備をするときから手洗い(衛生)、そしてそば打ちに入り水回し、こね・練り、延ばし、切り、片付け・態度とそれぞれ10項目ぐらいづつのチェック項目がある。そして最後に総評という欄がありそばの仕上がり具合をチェックする。
この中に「仕上がったそばは品格を感じるか」「出来上がり品は、品格・魅力を醸し出しているか」というチェック項目がある。
そばには「品格」という言葉がある。
この段位認定では審査官がどれだけの技量を持ってどれだけの審査能力を有しどれだけの品格を持って審査しているかどうかは分からないが、とにかく「品格の審査」もある。

品格論議
品格とはなんだろう。
広辞苑で「品格」を引いてみると、「@もののよしあしの程度。しながら。A品位。気品。」と書いてある。そんな簡単なものではないと思うが、書いたらこうしか書けないのかもしれない。もう少し品格とは奥の深いものと心得る。
仏教に「九品」というのがあり、どこかの本に「品とは内面であるが、結果としては内面を投影した外面にあらわれる。品の本質は内面にある。その内面にのみ目を向けて品を9段階に格付けしたのが九品である。」と書いてあった。まさに品格はそのものの内面からにじみ出る光のようなものだ。
全て知り尽くし、習熟され、洗練された一分の隙もないかたち、しぐさの中から生まれる全てを全うした隙のない光。
わび・さびとは違う、全体を悟りきったものから発せられる光。
真の真髄から発せられ全体を包み込んだ幻の光。
この光こそ品格だ。 この光は無我の心境になった時にしか見えない。



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