9  総合病院

  
 2007年3月15日。
 昼休みに携帯を見ると、姉からメールが入っていました。
  件名:姉は入院しました
  本文:肺癌術後5年の壁はクリアしたんですが、ここいらで仕切り直しです。
     おそらく胃の時に散った悪い細胞が、腹膜の下動き始めたと思われ、
     抗癌剤治療と圧迫されている尿菅がつぶされる前に
     ステント?を手術で入れこむというのが、主たる入院目的です。
     少し長丁場になるでしょう。少しある腹水が全てです。
     幸せな5年でした、生きてもどれたら、めっけものです
     入院、内科ですし長引きます、ごめんね。

 何のことかさっぱり解りませんでした。
 同僚とたわいない話をしながら、とりあえず返信しました。
  件名:あやまらないで
  本文:ゆっくり療養してね。
     きっとすぐに元気になるから、お医者さんの言うことを守って、
     おりこうにしててね。

 帰って母に電話で聞きましたが、要を得ません。
 1月の姪の成人式の時は、ロイヤルホテルで采配を振るっていた、とか、
 お手伝いさんが作ったほうれんそうを食べてから腸の調子がおかしくなった、とか、
 母が持って行ったバナナは食べた、とか、
 家の周りを歩く運動をしたが、1周も歩けなかった、とか、
 8日の定期検診の時、玄関から診察室まで歩けずに車椅子で行った、とか、
 初めて聞くことばかりです。

 母は「長くなりそうだし、あんたは帰ってこなくていいよ。」と言います。
 職場でSに話すと、
 「わけわかんないなら、さっさと帰って、自分の目で見といで」と言われました。
 この件に関しては、Sに一生感謝します。
 あの時、休みの段取りをしていたら、2度と会えませんでした。
 友人Sは、4月1日から採用だったのに、
 忙しくて無理矢理働いてもらっていた時のことです。
 Sが来てなければ、職場で話したりしませんでした。
 とりあえず、日帰りでも良いからなるべく早く帰ろう、と決心がつきました。

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