2  つのマガ

  
 寿命が来たら、人は死ぬ。

 2002年は、そのことが受け入れられなくて、悶々としていました。
 そして私は、内に向かって行きました。
 どうせ死ぬなら、新しい友達も新しい世界も必要ない。
 今ある世界。今までの友達を大切にしよう。
 通り過ぎて行くだけでは、何も残らない。
 今までの友達ときちんと繋がって、毎日をきちんと生きよう。
 きちんと食事して、きちんと掃除して、きちんと仕事しよう。と思いました。

 2002年12月。その手段のひとつとして、「つのマガ」を書き始めました。
 疎遠になってしまった大切な友達10人に、
 私のつまらない日常をメールマガジンとして、毎日しつこく送り始めました。
 でもかなり迷惑だったと思います。
 そのうちの数人には、送るのを自粛してしまったほどです。
 でもそのうちの数人は、「つの日記」となった今でも、
 熱心な読者で、よき理解者です。

 また、姉と母には、可能な限り、プリントアウトしてFAXで送りました。
 姉にとっては、どうでもよい内容ばかりだったでしょうが、
 姉は他界するまでの5年間、いつも楽しみに読んでくれていたそうです。
 離れていると、ついつい疎遠になってしまうので、
 これだけは、続けて良かったです。
 ろくに電話もしませんでしたが、一方的に報告をし続けるという手段で、
 繋がっていくことができました。

 つのマガからつの日記になり、私はこの5年間、
 毎日自分のことを晒し続けてきました。
 その情熱は、自分をアピールしたいとか、ただ書くのが好きだから、
 とかから来るものではないんです。

 私はもう新しい友達は1人も要らない。
 どうせ死ぬのだから、今いる友達だけときちんと繋がっていたい。
 ただそれだけです。
 その手段がこうして自分のことを書き続ける、ということであったのは、
 正解ではなかったかもしれません。
 でも、正解を探している時間などないのです。
 いつ消滅してしまうかわからないイノチなのですから、
 とりあえず今、できることから始めるしかないのです。

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