丸太坊が語る大蛇の裏話

 大蛇は一度書き直して完成に至った作品です。書き直す前はちょっとした学園ものみたいになってました。珠洲丸も主役扱いじゃなかったです。そもそもこの石川珠洲丸という名前は「G」の後編に出てくる、同姓同名のキャラクターが先なんです。何となく、女なのにも関わらず「珠洲丸」なんてつけられた経緯と、そういう名前で育ってきた気質みたいなものが好きになってこちらに出て貰いました。性格はほぼ同じ。見た目の設定もほぼ同じ。大蛇の作風にもあっているので丁度良いキャラクターでした。余談ですが、彼女の父親の石川元禄もGにやっぱり珠洲丸の父として登場します。私の場合は名前に由来を作らないことを基本にしているので、石川珠洲丸も桐生月那も、字体の見た目とごろが決め手です。草薙はまあ仕方ないとしてな。
 さてこの大蛇は、Gシリーズ以外の小説ではじめて完結にこぎつけた一本で、けっこう思い入れがあります。アトラク・ナクアというゲームのストーリーが気に入って(エロげーですが)、似たようなものを書いてみたいと思ったのがきっかけでした。桐生月那の設定なんて同じ匂いがしてますね。何とか別物にはできたと思いますけど、「あやかし」なんて言葉は使わせて貰いました。それにしてもこのアトラク・ナクアの話のモデルになった高橋葉介の夢幻紳士はマジで良いね。こんな感じの話が好きな人なら読まずにはおられない漫画だよあれは。
 さて話が逸れましたな。私は追いつめられないと動かない性質なので、この大蛇も公募の〆切間際の二週間で一気に書ききりました。缶詰って奴ですね。さて、急仕上げのせいでつじつま合わせには本当に苦労しました。基本的に書きながらストーリーを考えているので、後々でのつじつま合わせに腐心するのがいつものことなんです。今回一番困ったのは、珠洲丸は何故霊社にいて、月那は何故珠洲丸と敵対関係になろうとしたか。そこ。草薙と月那と珠洲丸の関係をああしてしまった(分からない人は小説を読んでね)からには、とにかく月那が何故珠洲丸をああ導いたのかが一番の問題でした。つじつま合わせがうまくいってるかは別として、こいつはかなり苦しかったね。
 この大蛇は公募(電撃ゲーム小説大賞)で一次審査を通った作品です。はじめて送った公募でこの結果は自分でもちょっと驚き。最後のあたりとかもっと練り混めば良かったなぁと思ったりもしました。まあそんなわけで、これを読んで下さっている方の中で、自分も小説を送ってみようと思っている方おられれば、一つの目安にでもしていただければ幸いです。

それではさいなら。他の小説も読んでねぇん。