オル・ヴァンビディスと十二神

第14章以降に登場する世界オル・ヴァンビディスと、それを作った十二神についての簡単な解説ページです。関連する項目についても多少解説してあります。ご参考までにどうぞ。



オル・ヴァンビディス

 十二の神々が自らの体に「G」の力を分割して封じる「十二神縛印」を用いたことで誕生した世界。有り余るGのエネルギーを安定的に消費するために、死の領域に近い場所に世界という形で捌け口を作り上げたもの。
 中心にGを分割した聖剣ファルシオンが眠る「ファルシオーネ」があり、それを均等な十二の世界が取り囲んでいる。いわば時計盤のような構造。短針の十二時から一時までの間を一の世界とし、以下、一時から二時までが二の世界、二時から三時までが三の世界と仮定して、海神オコンの世界を一の世界とすると各神の位置づけは・・・

 一の世界 海神オコン
 二の世界 森の女神リシス
 三の世界 収穫の女神リーゼ
 四の世界 探求神オルローヌ
 五の世界 戦の女神セラ
 六の世界 鋼の神ロゼオン
 七の世界 大地神ビガロス
 八の世界 酒の女神キュルイラ
 九の世界 鳥神バルカン
 十の世界 妖精神エコリオット
 十一の世界 束縛の神ムンゾ
 十二の世界 風の女神ジェネリ

 ・・・となる。
 この十二の世界は平面で、その外周には暗黒の虚無が広がっている。その先にあるのは死の境地であり、肉体を失った魂が帰る場所である。そこに向かった魂は清算され、新たなる命になるといわれている。オル・ヴァンビディスには多くの人々が住むが、これは清算されるはずの魂が、有り余るGの力により一時的な宿り木を取り戻したものであり、本来は死者である。
 オル・ヴァンビディスの最大のルールは、命を奪うことで自らの力に還元できることである。だが脆弱な体の持ち主では増幅した自らの力に耐えることができない。また生身の肉体を持たなければ結局は死人のままなので、オル・ヴァンビディスを脱することができない。
 この世界はなぜだか白廟泉で黄泉と繋がっている。十二神の誰かが穴を開けたようだが・・・


オル・ヴァンビディスの見取り図





 究極の力。太古の昔、バルディスの高名な賢者の息子、ロイ・ロジェン・アイアンリッチが作り上げた。殺めた相手の力を自らのものにする秘術と、虫の変態からヒントを得た進化の秘術が元になっている。早逝した母がレイノラに似ていたことから、彼女に劣情を抱いたこと、レイノラと相思相愛であったジェイローグが邪魔だったこと、しかし自分には思い通りにできるだけの力がなかったことが、アイアンリッチが奇行に走るきっかけとなった。その後、彼はバルディスの頂点に立つ大神バランら無数の神々を殺め、腕の一振りで世界を破滅させるほどの究極の生命となった。しかし鋼の神ロゼオンが作り上げたファルシオンと、束縛の神ムンゾの十二神縛印により、Gは十二の神々と共にいずこかへと封じられた。



バルディス

 かつての世界。あまりにも広大で、あまりにも多種多様の環境と生命が遍く世界。大神バランを筆頭に、様々な神があらゆる事象を司っていたが、Gとの戦いによって光の神ジェイローグと闇の女神レイノラだけが生き残った。崩壊が進む世界を安定させるため、二人はバルディスを三つの小さな世界に分けた。それが現在の三元世界、つまり天界、中庸界、地界である。



バルディス時代のジェイローグ

 竜族の王の子にして、光の神。本来は竜族の頂点に立つべき人物であったが、慣例を嫌い里を去ったことと、その資質を先の光の神ルグシュに魅入られたことで、彼の後継となる。戦士としての天賦の才は、多くの神々の中でも抜きんでていたと言われる。
 その後、三元世界の統治者として天界より世界に目を配る。竜神帝とも呼ばれる。レイノラとの間にはセティ、レッシイという双子の姉妹がおり、その系譜は竜の使いとして現在のソアラ、さらにはリュカ、ルディーへと続いている。



バルディス時代のレイノラ

 闇の神ウルティバンの娘。しかし神と一介の人間との子である。ウルティバンの後継として闇の女神となり、優れた才能を発揮するだけでなく、その類い希なる美貌でも人々を魅了する。周囲の賛同を得られずとも、一途にジェイローグを愛する情熱家でもあった。
その後、ジェイローグと共に三元世界の女神となるが、別世界にGの漏出が感じられるとして黄泉へ。その後誤解もあってジェイローグを憎むが、紆余曲折を経て現在はソアラたちとともに、Gを巡る戦いに参じている。



十二神


海神オコン
海の全てを司る神。真面目で誠実な好漢であり、バルディス時代からジェイローグの良き友であり理解者でもあった。風の女神ジェネリと特別な仲であり、彼女の世界の様子を常に気に掛けている。一面の海と幾らかの島々からなる彼の世界は、魚や海洋生物で溢れている。


森の女神リシス
森林の全てを司る神。見るからに含蓄深い老婆の姿をしており、実際に十二神の中で最も年老いた神。彼女の世界は一面の森であり、その全てが彼女の意のまま。森のいずこかにいるリシスのもとには、彼女が受け入れない限り辿り着くことはできないし、彼女の居場所からは森のどこにでも出ることができる。


収穫の女神リーゼ
農の全てを司る神。素朴で活発な黒髪の女性。飾り気はないが自然美とも言える愛らしい美しさを持つ。オル・ヴァンビディスの人々は真の生命体ではなく、食料を必要としないが、彼女の世界では人の営みとして作物を作り、あらゆる命への感謝の念を込め、その恵みを頂いている。


探求神オルローヌ
全てを知ることを許された神。凛々しい顔立ちに髭を蓄え、古代の王のような風格を持つ。威厳ある風貌に反して鷹揚な気性を持ち、知を求める者は拒まない。人物の歴史を紐解き、その全てを知識として得ることができる。未探求、すなわち初対面の人物は彼の探求を拒むことができない。


戦の女神セラ
戦いの全てを司る神。男性的な魅力を持つ凛々しい女性。表情に乏しく冷徹に見られるが、彼女を良く知る人物は暖かみのあるお方と慕ってやまない。あらゆる武具の扱いに精通するが、黄泉の文化を好み、刀を愛用する。十二神の中でも最も優れた戦士であったが、現在は力を半減させている。


鋼の神ロゼオン
鉱物の全てを司る神。口から顎にかけて豊かな髭を蓄え、口数少なで思慮深い。あらゆる鉱物に精通しており、武具作りの達人としても知られる。バルディス時代には剣神や盾の神も存在したが、あらゆる武具作りに精通するのは彼を置いて他にない。ファルシオンを作った神でもある。


大地神ビガロス
大地の全てを司る神。大柄な体躯とそれに相応しい剛胆な気性を持つ。バルディス時代に大神バランの側近を務めるなど、十二神の中でも上位格と言える神である。深い度量の持ち主であり、バラン死後は残った神々をまとめ上げジェイローグの後ろ盾となった。また強力無比な戦士としても知られる。


酒の女神キュルイラ
酒の全てを司る神。酒の女神の名に違わず、独特の妖艶な色香を持つ美女。外見上は若々しいが、ビガロスと同じく大神バランの側近格であった。誰にでも心を開く陽気な気性の持ち主だが、歯に衣着せぬ辛口な物言いも多い。外見は正反対だが、収穫の女神リーゼと仲が良い。


鳥神バルカン
全ての鳥を支配する神。鳥神の名の通り、顔は鳥(猛禽)、体は人間、いわゆる鳥人間の姿をしている。巨大な鳥に姿を変えることもできる。正義感が強く行動派であり、かつてのバルディスの戦いでも前線に立って奮闘した実力者。あらゆる鳥の頂点に立つ存在であり、全ての鳥は彼の意志に逆らうことができない。


妖精神エコリオット
あらゆる妖精の頂点に君臨する神。妖精の王であり、幻想を現実に変える力を持つ。独特な感性、性質の持ち主であり、一般論は通じない。物事を創造することを好み、自らの興味の赴くままに行動する。子供のような姿をしているが、神殿に籠もって滅多に姿を現さない。


束縛の神ムンゾ
全てを束縛することを許された神。封印術などに長け、Gを封じた十二神縛印の考案者でもある。用心深く慎重な人物で、他の神との接触を好まない。それぞれの世界の出来事に集中すべきとして、オル・ヴァンビディスの十二の世界に障壁を作ったのも彼である。


風の女神ジェネリ
風の全てを司る神。そよ吹く風の清々しさを持つ快活な女神。バルディスでも当初からからジェイローグとレイノラに理解を示していた友人であり、同じ立場を取ったオコンとの間には愛が芽生えている。しなやかな身のこなしを持つ優れた戦士でもある。