なぜシジュウカラの巣箱 
1.シジュウカラ
山地から都市部までの林などに生息する「森林性の鳥類」で、木や草の葉につく虫を餌としています。青虫等を捕食してくれることで、木や草は害虫から守られ健全に生育できることになります(右。葉が虫食い状態の樹木)。
これを農薬で駆除しようとすれば、木1本でも大変な作業と金額(数万円)で、地域全体でやれば莫大な労力・金額になるでしょう。。。シジュウカラは、市街地から郊外の生態系で有益な働きをしている
緑の指標種で、北区や目黒区、大阪市など多くの自治体のシンボル鳥となっています
(右)シジュウカラは緑が多いと出現しますが、緑がほとんどなくても、周辺から進出してきますから、
緑を整備(創造)する意味があります。キャンパス開校時、木も植えたてで自然な緑とは程遠い状態でスズメが突出(70%)していましたが、シジュウカラは侵入していました。
横軸は、緑の被度、樹木数、樹林パッチサイズから区分したクラスターNo。右ほど緑の量が多く、樹林のまとまりが大きい。縦軸は各クラスターのシジュウカラ出現率%(東京区部)
2.営巣(巣箱)と繁殖待ち個体
@営巣
 シジュウカラは、自然常態では樹木の洞(ウロ)や隙間等に営巣しますが、巣箱もよく利用します。キャンパスには、洞があるような大きな木はほとんどありませんので(住宅難)、営巣場所の提供が望まれます。
Aヘルパー 若鳥(未熟)やテリトリーを持てない個体(あぶれ個体)ですが、繁殖に参加する個体が知られています。通常希ですが、キャンパスでは、毎年確認されていますから、キャンパス周辺には繁殖待ち個体が少なくないのでしょう。
B行動圏 キャンパスの個体は、キャンパス外へも出かけて採餌しています(行動圏参照)。

3.多様性が増加すること

地域の鳥の多様度が増加すると、そこで生活する人の緑の満足度も増加することが示唆されています。
縦軸は、各クラスター内で生活している人の緑の満足度%(独立したアンケート調査結果)。数字はクラスターN.o。
横軸は、現地調査で把握したクラスター毎の種と優占度から求めた種多様度指(H')。

つまり キャンパス周辺の繁殖待ち個体の存在と住宅難を考慮すれば、キャンパスに巣箱を架けることで、より多くの繁殖が期待されます。シジュウカラの個体数が増える(優占度が増加し、構成の歪が減少)ことで、地域の鳥の種多様性が増し、人の生活環境としての緑の満足度も増加すると期待できます。これは、学生だけはなく、キャンパス周辺の人々にとっても潤いのある生活の場となることですから、キャンパス発の地域貢献といえるでしょう。
鳥は、姿、鳴声で人が癒され、季節を感じる対象です。また、鳥がいる緑は、目で見る地域景観の重要な構成要素であるほか、都市気候の緩和、騒音の低減、CO2吸収など重要な生態系サービス(機能)を担っています。
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